複数の派遣会社に登録してもいいの!?
はい、複数の派遣会社に登録しても問題ありません。
もちろん、日程が異なっていれば複数の派遣会社で就業してもOKです。
同日でも昼間はA社、夜はB社という働き方も可能です。
派遣会社それぞれ特徴が異なり、複数利用していると次第に自分に合った派遣会社が分かるようになります。
まずは気になった派遣会社に登録してみて、合わなかったり、仕事が見つからなかったりしたら別の派遣会社を利用してみるのも良いでしょう。
ただし、あまり多くの派遣会社で就業すると、それぞれシステムやルールが異なるのでややこしい(面倒くさい)ことになります。最終的に自分に合った派遣会社を2社くらいで仕事を回してゆけるとちょうどいいと思います。
では、複数の派遣会社に登録(就業)するメリットとデメリットを一度整理してみましょう。
複数の派遣会社に登録(就業)するメリット
- 仕事が途切れにくい
- 就業出来る企業の幅が増える
- より条件の良い仕事が見つかる
- 自分に合った仕事を見つけやすい
- それぞれの福利厚生制度・スキルアッププログラムを利用できる
仕事が途切れにくい
派遣会社によって仕事の数も種類も異なるので、複数の会社に登録してチャンスを増やすと仕事に就ける確率が高まり、仕事が途切れにくくなります。それは誰でも想像しうることですね。
しかしそれ以外にも複数の派遣会社に登録しておいた方が仕事が途切れにくくなる理由があります。
それは「派遣会社によって経営方針が異なる」ということです。
契約締結、契約書作成、営業の当日の付き添い……
単発派遣バイトは、他の短期~長期で働く派遣社員と比べて、派遣会社側の手間が多くなります。
そのため、いつ自分の登録している派遣会社が「単発の仕事はもう受けないことにしよう」と方針転換しないとも限りません。
実際、いつもお世話になっていた派遣会社で急に単発の部署がなくなってしまったことがありました。その一方、他社では単発の仕事が増えていたこともあります。また、単発の部署はなくなったはずなのに、いつの間にかまた復活していたりもします。
一つの派遣会社だけしか登録していないと、派遣会社の方針転換で、単発の仕事に就けなくなってしまう可能性も出て来ます。方針転換だけでなく、「いつも取れていた案件が別の派遣会社に取られてなくなってしまった」ということもあります。
そういった変化に対応するためにも、複数の派遣会社に登録した方が仕事を見つけやすくなり、途切れず仕事に就くことができるようになるのです。
ゆうきさんは何社で単発派遣バイトをしていたんですか?
登録した会社はもっとありますが、実際に働いたのは2社です。それでちょうど良い感じでした。
その2社はどんな派遣会社だったんですか?
一方は時給は低めだけれど案件が多い会社でした。もう一方は案件はそれほど多くありませんでしたが、時給が高めでした。
時給が高いけれど仕事の数はそこそこの会社と、時給は安いけれど仕事が多い会社、その使い分け方はいいですね。
就業出来る企業の幅が増える
派遣会社それぞれに特徴があり、強みも弱みも異なります。
例えば、親会社がマスコミ系の派遣会社だと、当然マスコミ系企業での仕事が多くなります。
若者向けの派遣会社だと、軽作業が多くなります。
大手派遣会社は仕事の幅が広いですが、大手は大手でそれぞれまた特徴が異なります。
よって、複数の派遣会社に登録すると就業出来る企業の幅が増えます。
派遣社員を採用する企業側は、複数の派遣会社を利用している場合もあれば、ずっと同じ派遣会社を利用し続ける企業もあります。
「この企業の仕事はこの派遣会社が独占している」なんてこともあります。
仕事の幅を広げたい場合は、別の特徴を持つ派遣会社に登録してみると良いでしょう。
世界が広がりますよ。
より条件の良い仕事が見つかる
仕事を探す際は派遣会社の検索機能を使用します。
条件を設定して検索すると、募集中の案件が表示されます。
複数の派遣会社に登録していると、それぞれの派遣会社が募集している仕事を検索することができ、より条件の良い仕事にエントリーすることができます。
また、複数名募集の仕事の場合、企業は複数の派遣会社で募集をかけることがあります。たくさんの人数を集めたい場合、一つの派遣会社では集めきれないことがあるからです。
しかし、同じ企業の同じ仕事でも、派遣会社によって時給が異なるのです。
ええっ。そんなことがあるんですか!?
結構ありますよ。同じ仕事仲間なのに、異なる派遣会社から派遣されているて時給も違うことはよくあります。
「時給については話さないで下さいね」
なんて派遣会社に言われていても、大人数の場合は自然と噂になってしまうものです(苦笑)
同じ仕事で時給が低かったらモチベーション下がっちゃいますね。
そうですね。働いているうちに、自分が登録している派遣会社の特徴が分かってきます。仕事先で出会った人と情報交換をしてみるのも良いでしょう。
自分に合った仕事を見つけやすい
他にも派遣会社によって異なることは様々あります。
子育て中のママを対象にした派遣会社だと、時短や週○日などの仕事が多いなど、条件面でも特徴がある場合があります。
更に、T社は単発の仕事の場合は基本一人で派遣先を訪問することになりますが、P社は単発の仕事でも派遣会社の営業と待ちあわせをして派遣先を訪問します。
「知らない会社に一人で訪問するのは不安だからP社がいい」
「派遣会社の営業と待ちあわせをすると、かなり早めに集合しないといけないのでT社がいい」
サポート面などといった細かい点でも派遣会社によって違いがあり、人に寄って合う合わないがあると思います。
複数の派遣会社に登録して仕事をしてみると違いを比べることができ、色々な面でより自分に合った仕事を見つけることができるようになります。
それぞれの福利厚生制度・スキルアッププログラムを利用できる
派遣会社にはそれぞれ、福利厚生制度やスキルアッププログラムなど、登録者や就業者が利用できるサービスがあります。
まず、福利厚生とは何かを見てみましょう。
福利厚生制度とは、給与や賞与以外の報酬を指し、従業員とその家族に提供する取組みのことを言います。
福利厚生には「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2種類があります。
- 「法定福利厚生」とは
-
企業に導入・実施が義務づけられているもののことで、具体的には下記のことを指します。
・社会保険(雇用保険、健康保険、介護保険、労災保険、厚生年金保険)
・子ども・子育て拠出金 - 「法定外福利厚生」とは
-
企業によってその種類も内容も異なります。独自の法定外福利厚生を設けていることもあります。
例を挙げると、住宅手当、通勤にかかる交通費、健康診断や人間ドックの受診料、退職金、企業型確定拠出年金(401k)、カルチャースクール、保養所利用、お菓子ボックスの設置などのことを指します。
派遣会社の「法定外福利厚生」で利用価値の高いサービスは、スキルアッププログラムです。
キャリアサポートと呼んでいる派遣会社もあり、要はOAやビジネス基礎、経理やAutoCADなどの専門的なものまで学習することが出来る講座等のことです。
e-learningや座学、無料なものもあれば有料なものもあり、様々です。
ブランクがあったり、スキルに不安がある人には心強いサービスですね。
派遣会社によっては、レジャー施設やホテルなどの優待を受けられたり、割引でショッピング出来たりするサービスなどもあります。豪華賞品が当たるクリスマスパーティーなどのイベントがある派遣会社もあります。
「法定外福利厚生」の幅は広く、派遣会社によって何に力を入れているか大きく異なります。複数の派遣会社に登録して、自分が利用できるサービスがあるかチェックしてみると良いでしょう。
ゆうきさんは法定外福利厚生を利用したことはありますか?
昔、アドビのIllustratorやPhotoshopの無料講座で勉強したことがあります。また年末年始のパーティーに参加して、3万円の旅行券をもらったこともありました。
旅行券! それは嬉しいですね。
私は少しブランクがあるので、OAの講座を受講して就業の前に自信をつけたいです。
複数の派遣会社に登録(就業)するデメリット
- それぞれの派遣会社に必要書類を提出する必要がある
- 複数の派遣会社で仕事をした場合、年末調整をしてもらえないことがある
- 仕事が重ならないよう、スケジュール管理が必要
それぞれの派遣会社に必要書類を提出する必要がある
派遣会社に登録する際には様々な書類を提出することになりますが、実際に単発派遣バイトで働くことになった際もまた別の書類を求められることがあります。
例えば「日雇派遣が許可される条件」に当てはまるかどうかをチェックするために、前年度の「源泉徴収票」または「確定申告書」を提出しなければなりません。複数の派遣会社で単発派遣バイトをする場合は、その書類をそれぞれの派遣会社に提出する必要があります。
また年末調整のタイミング(新規登録した場合はその時)で、登録している派遣会社から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出を求められます。
これは控除対象の配偶者や親族がいなくても、扶養控除申告書で「扶養控除がない」ことを確認するための書類なので、提出が必要です。もし提出しなかった場合、源泉徴収額が多く引かれてしまいますので注意が必要です。
しかし「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出する先は、主たる収入を得ている1カ所のみです。
複数の派遣会社で仕事をしている場合は、多く働く派遣会社1社に提出し、他の派遣会社には別の派遣会社に提出した旨を伝えましょう。
他にも、機密保持契約書の提出を求められたりするなど、利用する派遣会社が多くなれば多くなるほど提出書類も煩雑になります。
書類ではありませんが、派遣会社それぞれのマイページへログインするためのID管理なども必要です。
その上、各派遣会社のサイトを使い慣れる必要がありますね。
それって地味に面倒くさいですね。
複数の派遣会社で仕事をした場合、年末調整をしてもらえないことがある
「年末調整」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
会社員を経験したことのある方は、ご存じですね。
会社員の給与は、社会保険料が引かれた手取金額が毎月振込まれます。
年末になると、配偶者控除、生命保険・地震保険などの保険料の控除、住宅ローン控除の証明書や書類を勤めている会社に提出します。そして会社が毎月徴収していた税額と控除などを差し引いた税額を調整し、実際の納税額を精算します。
これを「年末調整」と言います。
単発派遣の場合は、給与から社会保険料は差し引かれませんが、源泉徴収として所得税が引かれた分が給与として振込まれます。
もちろん、単発派遣バイトで働く場合も、ほとんどの派遣会社が年末調整をしてくれます。
※年末調整をしない会社もあるのでご確認下さい。
源泉徴収についての補足
ここまではOKですね。
ところが、複数の派遣会社で仕事をする場合、話が少しややこしくなります。
複数の派遣会社で仕事をしている場合、年末調整をしてくれるのは「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出した派遣会社です。こちらが「本業」になります。
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していない派遣会社(こちらを「副業」とします)からは「源泉徴収票」を取寄せ、年末調整をしてくれる派遣会社に提出します。
ただし、年末調整をしてもらえない場合があります。
- 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出した派遣会社で12月に給与が発生していない
- 副業とする派遣会社の源泉徴収票を、年末調整の締切までに手に入れられない
※派遣会社によって条件が異なります。
- ①について。
-
日払いではない派遣会社の給与は、多くが翌月振込になると思います。
つまり、翌月振込の派遣会社の場合は、11月に仕事をしないと年末調整をしてもらえないことになります。
※派遣会社によって条件が異なるので、派遣会社のサイトなどで確認してください。 - ②について。
-
年末調整を行わない派遣会社(副業)の源泉徴収票は、年末調整を行う派遣会社(本業)の締切(11月中旬頃)までに手に入れて送る必要があります。しかし派遣会社の多くが、源泉徴収票は年明けに配布します。
つまり、実は多くのケースで11月中旬頃までに副業とする派遣会社からの源泉徴収票を手に入れられず、年末調整を受けられないことになります。
では派遣会社に年末調整してもらえない場合、どうしたら良いのでしょうか。
それは、仕事をしている派遣会社それぞれから源泉徴収票を取り寄せ、自分で確定申告をすれば良いのです。
「えっ。確定申告なんて難しそう。無理!」
そう思った方もいるかもしれません。ですが、大丈夫!
確定申告にも種類があり、青色申告を行うためには簿記の知識が必要ですが、給与所得者の確定申告は難しくありません。
会社員でも、副業をしている方は確定申告をしたことがあると思います。
また、ワンストップ特例制度を利用せずにふるさと納税をしている方も確定申告を行ったのではないでしょうか。
収入が派遣会社からの給与だけの場合、税務署などで「確定申告書」をもらい、派遣会社から取り寄せた源泉徴収票の通りに給与を記入します。
そして給与収入が103万円以下の場合、「給与所得控除 55万」「基礎控除 48万」合計103万の控除を引くことで所得税は0になります。
確定申告の詳しい内容は国税庁のサイトをご覧ください。
初めての方はお近くの税務署で予約を取って、相談しながら確定申告をすることをオススメします。
一度行ってしまえば、次からは簡単にできますよ。
年末調整を受けられず、確定申告もしなかった場合はどうなるの?
仕事が重ならないよう、スケジュール管理が必要
就業するためには、派遣会社から直接オファーが来る場合と、自分で派遣会社のサイト上で募集されている仕事にエントリーする方法があります。
自分で募集されている仕事にエントリーした場合、他にもその仕事をしたい人がいる場合は派遣会社の内部選考に通過しないと、話を先に進めてもらえません。
派遣会社から直接オファーがあった場合でも、派遣先の企業が「あなたに来てもらいたい」と思ってくれないと契約締結には至りません。
内部選考、派遣先の選考、どちらかの段階で躓いてしまい、人によってはなかなか仕事に就けないなんてこともあります。
また、派遣会社からの連絡を待つ時間も長く、数日放置された上、断られるケースも少なくありません。
よって効率よく、そして確実に就業するためには、複数の派遣会社で複数の案件にエントリーする必要があります。
そして場合によっては同時進行で複数の仕事の話を進めることになります。
ですが、しっかりスケジュール管理をして優先順位を決めていないと、いざ契約締結……となった段階で、他社の案件と期間がかぶってしまった! なんてことになりかねません。
まだ契約前の段階なら良いですが、契約後に期間がかぶっていることに気付いてしまったら、派遣会社にも派遣先にも迷惑をかけることになります。
せっかく話が決まったのに、そんな事情で辞退されては(もちろん、事情は本人しか知りませんが)、派遣会社も派遣先もがっかりですよね。選考を一からやり直さなければならないのですから。
それに、あまりそれを繰り返すと派遣会社に「この方は仕事する気がないのかな」と思われて、今後仕事の紹介が途切れてしまうかもしれません。
これから長くお世話になる派遣会社のためにも、そしてあなた自身のためにも、スケジュール管理はキチンとしておきましょう。
色々エントリーすると、いざ派遣会社から電話がかかって来た時、「あれ? 私どんな仕事にエントリーしてたっけ…??」と混乱してしまい、うまく対応できなくなってしまうんですよね。
A案件が進みかけていたら、もっと条件のいいB案件の話が来て、B案件にしようと思ってA案件を断ったらB案件も駄目になってしまって…なんてこともありそうです。
条件にこだわらず、ご縁があった会社で働くよう決めておけばスッキリしますよ。
そうですね! 欲深くならず、ご縁を大事にするようにします。
まとめ
「マスコミで働きたい」「時短の仕事がしたい」「立ち仕事は嫌」「とにかく働きたい」
みなさんそれぞれ、こんな働き方をしたいという理想がありますよね。
まずは一社、自分が最優先とすることを強みにしている派遣会社に登録してみましょう。
そしてそこで仕事をしてみて、「仕事が少ないな」「もっと時給が高い仕事がいいな」など思う所があったら、遠慮なく派遣会社に希望を伝えてみて下さい。それでも希望が叶わなかったら別の派遣会社にも登録してみると良いと思います。
登録する派遣会社に制限はありません。
また、登録するだけなら多くてもかまいません。
しかし実際に仕事をする場合、あまり多くの派遣会社と同時にお付き合いすると、その分だけ仕事も増えますが手間も増えます。
最終的には、利用する派遣会社は2社~3社程度が良いでしょう。
働いてみて、合わなかったらその派遣会社とのお付き合いを止めても大丈夫です。
ちょっと古いですが、2018年度時点、派遣会社の事業所数は38,128か所。
※一般社団法人 日本人材派遣協会より
きっとご自身に合った派遣会社があるはずですよ!
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